TOP
▶Select Language
image

Introduction

喫茶店には、町の文化が色濃く反映されている気がします。毎日訪れる常連にとっては、きっと生活の一部のような場所なのですから。この街に長く根付いている喫茶店では、いったいどんな文化が育まれているのでしょうか。


個性豊かな店主が営む、レトロ喫茶探訪へ

潮風巴里らんぷレストラン

私史上、駅前にほしい喫茶店No.1
― 潮風

 竹原駅を降り立ってすぐ目の前に佇む「潮風」。一歩足を踏み入れると、挽きたてのコーヒーの香りがふわり。こぢんまりとした店内ながら、地下と2階に階段が伸びる、立体的な空間の広がりに、外観とのギャップを感じます。ここは、戦後間もない頃に、両親が始めたという喫茶店。「祖父が塩田業をしていたことにちなんだ店名だそうです」と、二代目店主の下野恭子さんが 、愛嬌たっぷりの笑顔で教えてくれました。

 創業時から扱うコーヒー豆は、広島市の老舗「十日市茶房」の「オールドビーンズ」。生豆を数年寝かせるため、渋味やエグ味が落ち着くのが特徴で、爽やかな酸味がごくごくと飲みやすい一杯です。モーニングを求めて訪れる常連が多いため、朝は特別大きなサイフォンでたっぷりとコーヒーを準備しておくのだそう。

 おもむろに席に座るお客さんに、さっと差し出されるコーヒーとミルク。きっと、ここでの「いつも」を楽しみに訪れる人は数知れずいることでしょう。下野さんとの他愛のない会話も楽しく、つい長居していまうのはきっと私だけではないはずです。

コーヒーで世界旅行の気分を味わう
― 珈琲専門店 巴里

 「昔から喫茶店をしたいと言っていた、主人と一緒に始めました」と教えてくれたのは、当時憧れだったフランス・パリから命名した「巴里」店主の河野博子さん。コーヒーへのこだわりが強かったというご主人の思いの通り、世界12カ国、ブレンドも合わせて20種以上のコーヒーが楽しめます。

 昭和48年の創業時はコーヒー専門店でしたが、お客さんのリクエストで、パスタやグラタン、焼きカレーといった食事メニューも充実していきました。子ども連れの家族も多く「小さい頃に食べたパフェが忘れられない」と、訪れる人もいるそうです。

 どこか懐かしさを感じられるのが喫茶店の良いところ。真鍮(しんちゅう)でピカピカのテーブルの端にそっと飾られる折り紙や、重厚感のある棚に置かれた雑貨たちは、どれも常連から河野さんへのプレゼント。「また来た時になかったら寂しいでしょ?」という言葉に、河野さんの人柄が現れます。最近のおすすめは「おふくろのおやつ」と名付けたドーナツセット。揚げたてサクサク、ほんのり優しい甘い味は、河野さんのように心をほっと和ませてくれます。

西洋風レトロな、異空間へようこそ
― コーヒー&レストラン「らんぷ」

 レンガ造りの建物が目を引く、昭和55年創業のコーヒー&レストラン「らんぷ」。料理を作ることが好きな店主の稲積春雄さんは、若いころから東京や大阪で料理の腕を磨いてきました。「店を持つことが夢だった」と、少しずつ店の規模を大きくすることを目標に、創業時はコーヒーショップとしてスタートさせたそうです。現在は、イタリア料理店で修業を積んだ二代目、息子の良則さんもパスタやスイーツなどで店を盛り上げます。

 店内は、神戸の異人館を参考に、春雄さん自ら手を動かして作り込んだそう。そこに、ステンドグラスや電話BOXといったハイカラな要素も加わり、まるで過去へとタイムスリップしたような落ち着いた空間が広がります。店の雰囲気にぴったりな「パフェ」や「自家製ケーキ」などの喫茶メニューには、季節のフルーツがたっぷり。

 店名は、「月」や「灯」をイメージして春雄さんが付けました。普段使いはもちろんですが、お見合いや会食など、おめかしして利用する人も多いそう。「らんぷ」は、まるで訪れる人を優しい光で見守ってくれるような場所です。

Information

取材先:
潮風
営業時間:
7:30~17:00(モーニングは〜11:00)
定休日:
木曜
住所:
725-0026
広島県竹原市中央2-2-1
アクセス:
JR竹原駅から徒歩すぐ
取材先:
巴里
営業時間:
8:30~18:00(モーニングは〜11:00)
定休日:
日曜
住所:
725-0026
広島県竹原市中央3-4-13
アクセス:
JR竹原駅から徒歩8分
取材先:
らんぷレストラン
営業時間:
11:00~15:00(LO14:00)
17:30〜20:00(LO19:00)
定休日:
月曜(祝日の場合翌日)
住所:
725-0026
広島県竹原市中央4-8-1
アクセス:
JR竹原駅から徒歩5分